先日、とあるテレビ番組で土屋アンナさんが、イルカの調教師など将来の夢に向かってガンバッている高校生にこんなふうに語りかけていました。
「好きなことをしようとするとつらいことがたくさんある」
この言葉、深いなと思いました。高校生たちもうなづいていました。
単純に道を極めるには大変なこともある、ということだけではなくて、たとえば、アンナさんは学生時代、モデルとして活躍しようとすることで学校を休むこともあったので、学校では同級生に無視されたり。
イルカの調教の勉強だって、楽しいことばかりではありませんよね。厳しいこともあるし、テレビに出ていた高校生は、親元を遠く離れて一人暮らしをしていました。
最近の大人の「好きなことをする」は、好きなことさえ見つかればイヤなこと、苦痛なことは何もないかのようなイメージで捉えられていますが、「好きなことであっても、つらいことはある」というのが、現実だと思うんです。
だけど、「好きなこと」だからやれる。義務感でやらされるんじゃなく、自分からやろうと思えるんじゃないかなと。
そこまでやりたいと思える好きなことがない
だけど、多くの人はそこまで思えるほどの「好きなこと」がなかったりします。私もそうでした。「これはやりたくない」「これは向いていない」「これは得意だ」という基準はいくつかあっても、反対されてまでやりたいと思えることなど見つけられないまま、社会に出ました。
出世欲はなかったものの、(自分で言うのもなんですが)責任感が強い性分が災いし(笑)いつの間にかガンバってしまい、会社ではそれなりに評価もされました(その何倍も大変な思いもし・・・)。
ですが、だんだん会社の方針が自分の価値観と合わないことが増えていきます。
「これが、私が本当にやりたいことなんだろうか。一生ここで働いていくんだろうか?」と思うようになった30代前半で出会ったのが、ファッション雑誌に掲載されていた「天職と適職」という江原啓之さんのコラム(エッセイ)でした。
天職は純粋に魂が喜ぶこと、収入を得るかどうかは関係ない。適職は得意なことを活かして、人の役に立ち収入を得る方法でいいのだと。
天職(魂の喜び)と適職(経済手段)という割り切り
たとえば、絵を描くのが好きな方が、画家で生計を立てようとした場合、売れることを意識した不本意な作品も書かないといけないとなれば、それはとてもつらいこと。
だけど、それは天職とし、適職(たとえば、絵を教えるとか、全く別の仕事をするとか)など)が別にあれば、天職は純粋に楽しめるかもしれません。
この天職と適職という言葉に救われ、ある意味割り切って仕事に取り組めるようになりました。
ただ、その数年後、状況は変わり、ハードワークで疲弊するも、会社に希望を見出せず、適職であってもこの環境で働き続ければ、きっと人生に後悔することになると思い、退職、独立に至りましたが。
なので、これは天職と適職で割り切って我慢しろということではありません。考え方の1つです。
好きなこと=稼げる事とだけ考えない
つい先日、ある素晴らしい女性をインタビューした時にも(これはまた後日ご紹介します)伺ってみました。
「”好きなこと、やりたいことをやってみるといい”と言われるけど、その好きなこと、やりたいことがわからない」という方も多いですが、なぜだと思いますか?
その方がおっしゃったのも、「それですぐ稼ぐことに結びつけるからじゃないかな」ということ。
好きなこと、本当にやりたいことは、まず稼げるかどうかは置いておいて考えないと気付きにくいんじゃないかと。すごく好きで極めていくうちに、共感する人が出てきたら、ビジネスにつながるかもしれないけど、まず、稼ぎたいのならそこを優先して手段を確保してから、好きなことに没頭する時間を持ってみる。それで、これ違うなと思ったら、やめてもいいのだしと。
私もそう思っています。稼げるかどうかや目先の損得は一旦脇において、好きかどうか、やりたいと思えるかだけを感じてみてはどうでしょう?
したくないことを優先させてみては?
好きなこと、やりたいこともわからないかもしれない。でも、このままではイヤだというとき、まず、「これは、やりたくない」「これは、避けたい」ということから考えてみることをお勧めします。
まず、自分にとっての「不快」をなくして、「快」を増やしていく。
そうすると自ずと心に浮かび上がってくることがあります。
今の仕事が自分に合っているか、このまま続けていくのか迷っているなら、短絡的に好きなことを仕事にしよう!と思うのではなく、まず今の仕事(何かしら縁や理由があって選択したわけですから)について、好きなこと(これは悪くない)と思えることと、これはイヤだと思えることを振り返ってみる。そのイヤだと思えることは、仕事を変える辞めることで解決するのか考えてみるといいと思います。
なんとなく好きそうなことを選ぶのではなく、絶対に避けたいことを明確にして、それを無くすにはどんな手段がいいか、そうして行動すると意外に道が拓けたりしますよ。